ラ・サイア・アルデラミン

 
第10話、シナーク族との戦闘も終わりを迎える頃、突如やってきたアルデラ教の世情査察団。それを追ったイクタが見たものは、数にして一万を超える大軍だった……。これがラ・サイア・アルデラミンのアルデラ教本部国軍である。

ラ・サイア・アルデラミンはカトヴァーナ帝国、キオカ共和国と同じくひとつの国家だ。大アラファトラ山脈を北へ超えた先に存在する宗教国家であり、アルデラ教の総本山でもある。帝歴906年においては、イェナーシィ・ラプテスマが宗主にして教団組織の頂点に君臨する教皇として就任している。
 
アルデラ神軍の将、アクガルパ。教皇イェナーシィの信頼も厚い、名将だ。
カトヴァーナ帝国、キオカ共和国の両国に対しては歴史的に中立の立場を貫いており、どちらか一方に与することは、これまでほとんどなかった。大アラファトラ山脈が決して外敵を通さない『神の階』として機能したのも、この国が大アラファトラの北側にあったことが大きい。

アルデラ教の紋章は濃紺の布地に真っ白な一つ星。これを正位置に掲げて軍を出すのは聖務遂行の時であり、それを見たイクタはひとつの結論に思い至った。
それはキオカ共和国がアルデラ教の神官と結託し、サフィーダ中将の悪行を呼び水に、ラ・サイア・アルデラミンの聖務遂行による帝国侵攻を促していたこと。さらには、それをシナーク族による内乱誘発と並行して企てていたことを……。

一万以上を出兵したアルデラ神軍の目的は、宗教的戒律を犯した北域鎮台の破壊と、その後の北域一体の制圧にあるとみるのが妥当だった。シナークとの戦いで疲弊しきった北域鎮台が、いまだかつて予想していなかった北からの進行を受けることになる。果たして、まともに抵抗できるのか……。

大軍を前に、イクタは現状を分析する
そして、イクタは結論付ける。北域鎮台にはなんとしても時間がいる。これまで戦線に投入してきた装備と物資を最低限回収し、その上で全軍を撤退させ、地上に戻ってから迎撃の準備を整え、可能であれば中央が援軍を寄越してくるまでの猶予を作らなければならない。
こうしてイクタたちは北域撤退という新たな局面を迎える。だが、それは彼らにとって絶望に近い様相を帯びていた……。
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