知られざるエアライフル開発史


アナライの匣が開き、その技術によって開発された新兵器、エアライフル(施条風銃)。
 
従来の風銃と比べ、単純計算で五倍近い(範囲内集弾率94%)命中率を誇り、必中射程は200〜250m、最大有効射程は400m以上。大量生産が始まれば、まさに戦場に革命を起こしうる恐るべき兵器である。

その構造は、銃身内部に螺旋状の浅い溝を掘り、そこを高速で通り過ぎる弾丸に旋回運動を与え、直進性を高めることで、弾道を安定させる、というもの。
また、銃身に溝を掘った分、球との隙間から空気が漏れるのを防ぐため、球も球型ではなく、ドングリ型に変更されている。

ドングリ型の球が旋回運動をし、発射される
このエアライフルの設計、及び開発者は、パクダ・ソーンヤナイとされている。彼は当時、総合兵器管理部という風銃を始めとした各種兵器の開発・製造を任される中央軍事基地の部署に所属する研究員だった。

だが、実のところ、パクダは当時北域に出向していた、変わり者として知られた高等士官候補生から設計図を預かったに過ぎなかった。それを見たパクダが、結果はどうあれ作るべき価値があると考え、試作品を制作したのだ。

もちろん、彼も当初は自身の設計でないことを明かすつもりでいた。だが、彼はその前に、士官候補生から頼まれた約束を果たす必要があった。それは試用品を最初に提供するのを、その候補生の部隊にすることだった。

それは越権行為であり、上官に願い出ることは、パクダにとって勇気のいることだった。そしてそれを成し遂げた途端、パクダは完全に忘れてしまった。自分が持ってきた設計図の製作者を、明かすべきかどうかという葛藤を。

かくして、エアライフルの発明という偉業は、その後、永遠にパクダ・ソーンヤナイの名前と共に語られることになったのだ――。
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