北の大地の諸問題

第6話にて北域鎮台へと赴いたイクタたち。彼らはそこで、のちに北域動乱と呼ばれる大規模戦闘へと組み込まれることになる……。ここでは、その動乱に至る「種火」ともなった北域が抱える問題点をもう一度振り返ってみよう。

そもそもイクタ達が北域鎮台へと赴いたのは、高等士官学校の訓練の一環であった。半ば慣例化しており、暇をもてあますことも多いと言われる任務だが、その理由は大アラファトラ山脈の存在にある。
大アラファトラ山脈
「大アラファトラは神の階」と言われるように、この大山脈は天然の要害と化しており、有史以来この山脈を敵が超えてきたことはない。つまり、北域は基本的に敵が来ないことを前提とした場所なのだ。

では、北域鎮台はなんのために存在しているのか。これは「帝国人ではあっても、カトヴァーナ民族ではない」山岳民族、シナーク族への危機管理という題目が大きい。彼らとは歴史上、何度も紛争を繰り返しており、そのため兵の任務も彼らに対する示威行動が主となっている。

北域鎮台の司令長官はタムツークツク・サフィーダ中将、補佐はユスクシラム・トァック少佐。北域に住む民衆との折り合いをつけるため、様々な面で便宜を図るといった苦労を始め、ほとんどの実務はトァックが行っている。
タムツークツク・サフィーダ
だが、唯一シナーク族に対する命令は、サフィーダ自身が行っていた。その内容は税を厳しくしたり、精霊を取り上げたりといったシナーク族に圧力を加えんとするもの。また、取り立てが厳しくなったことで野盗化せざるを得なかったシナークの一部に対しても討伐隊を編成し、殺害していた。

取り上げた精霊は幽閉しており、その姿はイクタも目撃している。これが功を奏してか、シナークとの小競り合いも少なくなったとのことだったが、イクタはこのやり方を「非道に奪われたパートナーを取り戻すという、シンプルで巨大な大義が生まれてしまった」と評していた。
幽閉された精霊たち
その懸念が表面化したのが、トァックの殺害だ。物資補充のために基地から最寄りの街に赴き、有力者との会合に赴いた彼は、そこでシナーク族の強襲に会う。その後、シナーク族は宣戦を布告した。
トァックの殺害
ナナク・ダルによる宣戦布告
これをサフィーダは「部族を挙げての反乱」と解し、戦線を拓くことを決意。
こうして大アラファトラ北域動乱は幕を開けたのだ。

だが、イクタが見たトァック殺害現場におけるアルデラ教の巡礼服や、宣戦布告の際シナーク族の語彙に本来ないはずの「聖戦」という言葉が含まれていた件など、一連の出来事には第三者の介入があったかのような節もある。

イクタが見つけた巡礼服
果たしてイクタ達騎士団は、このきな臭い戦況をどのように乗り越えていくのだろうか…。
list page
PageTop

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンwebラジオ 種田いのり帝国

電撃文庫 ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン

『ねじまき精霊戦記 天鏡のアルデラミン ROAD OF ROYAL KNIGHTS』公式サイト