だが、カトヴァーナ帝国はアルデラ教を国教としており「全ての論理の根底には神がいなくてはならない」という考えが基本理念の国。そんな中で、科学は異端でしかない……。ゆえにアナライは「涜神者」と呼ばれ、何度も神殿への出頭要請が来ていた。
そして、アナライは亡命を決意する。亡命先は、戦争中の隣国キオカ共和国。キオカ側にもアナライの弟子となった人間は何人かおり、その伝手を頼ることで亡命に成功する。
だがその代償に、彼は軍事応用の効く技術の幾ばくかをキオカ側に開示しなくてはならなくなった。アナライは科学により軍事バランスが一方に傾き過ぎることを良しとしておらず、従って、帝国にも同様に技術を開示するため「アナライの匣」を開こうとする……。