常怠vs不眠 緒戦戦況解説


ここでは主に第11話において展開された、帝国軍退却のための時間稼ぎをするイクタたち一個大隊部隊約600名(とシナーク族約120名)の緒戦について解説する。対するは、アルデラ神軍約1万2000名……この兵力差にイクタたちはどう立ち向かったのか。

第10話で火線防御陣を敷いたイクタたち。だが、第11話でイクタは「そろそろ一線交えよう」と切り出した。火線防御陣が上首尾の効果を挙げているにも関わらず、戦わなければならないのには理由がある。

それは、敵が迂回してイクタ達部隊の後背を突くことができるためだ。だが、同時に迂回は帝国軍にとって苦渋の選択でもあった。遠回りした分だけ、撤退中の帝国軍本体に攻め入るのが確実に遅れるのである。
 
アルデラ神軍に迂回路を通ってこられると、帝国軍の後背に出られる
つまりアルデラ神軍は、炎の壁を突破して攻め込むか、それを諦めて迂回路に兵を回すか。どちらかの選択肢を迫られている状況だった。そのためイクタは、敵の意識が迂回路に回らないよう、ここで戦うことで彼らを釘付けにする狙いがあったのだ。

イクタはまず、敵側正面の林道の炎の壁をあえて薄くする。この誘いにアルデラ神軍大将・アクガルパはあえて乗った。こうして炎を鎮火させた夜、アルデラ神軍はついに帝国軍を攻め立てることとなる。

イクタたちは道を塞ぐ形でバリケードを設置。ここを防衛ラインと見定めた。また道幅が狭いため、アルデラ神軍が一気に押し寄せるという状態にはない。以上の前提の元、ついに戦端が開かれた。
 
 
先制は帝国軍光照兵部隊からの照射開始(ビームオン)から始まり、すぐに砲撃と銃撃の嵐となる。

ここでイクタたちの部隊は陽動部隊として動いていた。移動しつつ敵に光の照射を続け、トルウェイやマシューのエアライフル&風銃兵部隊に敵の目が向かないよう行動する。

照射をし続け、アルデラ神軍を陽動するイクタ達光照兵
これらイクタたちの能率的な動きにより、苛烈な反撃を受けたアルデラ神軍だったが、彼らにもまた策があった。それは弾避杭を進軍通路に打ち込むこと。これをされると、帝国軍は砲の射線を塞がれることになり、打ち込まれ続けてしまうとバリケードへと敵兵に近づかれてしまう。

これを回避するためには工兵を送り込み、杭を抜かなければならない。その支援のためにヤトリは白兵戦を指揮官のサザルーフに申し入れる。バリケード側の砲を仰角にすれば、弾弾にも当たらず作業が可能なはず…そしてヤトリは、ナナクと共に激戦区域の真っ只中へと飛び出した。

しかし、それはアルデラ神軍側も予測済みだった。彼らは兵を一端引かせ、ナナクが誘いに乗って奥の杭を抜こうと突出したところを、エアライフルで射撃したのだ。
 
エアライフルを使用するキオカ共和国の兵士たち
ナナクたちシナークの友軍兵は負傷。さらに彼女らは射線上にいたため、砲の圧力が半減してしまう。それを機にアルデラ神軍側は雲梯を運んできた。弾避杭もこの攻城兵器を使用するために打ち込まれていたものだったのだ。
 
アルデラ神軍は雲梯をバリケードに取り付けようとする
イクタはこの状況に、ヤトリの行動予測をしたうえで、ナナクたち友軍兵を助け出す判断を下す。すぐに負傷兵を回収し、危なく雲梯に取り付かれかけていたバリケードまで退避。そのままバリケードに着火し、ヤトリの焼撃兵部隊を殿に道中を燃やしつつ撤退した。

こうして、帝国軍撤退支援の殿部隊とアルデラ神軍との緒戦は終結した。
イクタたちは無事撤退をし、アルデラ神軍を足止めすることができた。

だが、不眠の輝将は笑うのだ。「我々はまだ何も負けていない」と――。

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