なぜカンナのいる陣地は落とされたのか

 
第8 話にてカンナの所属する部隊が築いた野戦陣地。劇中「高台にあって立地もいい」と言われていたこの陣地が、周囲を囲まれたとはいえ、時を待たず落とされたのは一体なぜなのか。ここではその点について解説する。
 
シナーク族に囲まれるカンナ達
そもそも高い場所で敵を迎え撃つというのは、用兵上低地の敵に対して有利に立つはずである。高い場所からは下の敵の姿が一望でき、迎撃も容易となるし、突撃にあたっては坂を駆け下りる勢いを味方につけることが可能だ。その意味で、野戦陣地を築いた場所が、対シナーク族に有効であるという考え方そのものは間違ってはいなかったといえる。

だが、帝国軍はこの時大きく失念していたポイントがあった。それが、この高台が平地に突出して存在しているものではなく、山岳地帯ならではの起伏に富んだ地形の一部でしかなかったということだ。
こういった地形の場合、高台から駆け下りて敵を突破した先には、険しい地形が待ち構えていることになる。すなわち……退路が存在しないのだ。
一見高台にあって、帝国軍にとって有利に思える地形。だが、この地帯にあっては突撃に際し大きく行動が制限されてしまう
シナーク族はこの高台の条件を予め知っており、高台を放置すること自体を罠としていた。帝国軍にとって包囲の突破を許しても、その後の退却を許さない地形。それが結果として帝国軍に持久戦を強いることとなり、敗北へと繋がったのである。
高山病に加え、慣れない地形。山における戦いの不利は、徐々に帝国軍を蝕んでいく…。
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