西の砦を虎視眈々と狙う影…その部隊はエアライフルを携えたカラ・カルムだった。背後をついて強襲せんとする彼らの指が、今まさにエアライフルに掛かる。——瞬間! 血しぶきをあげたのは、カラ・カルムの方だった。それは向かいの尾根からの狙撃……トルウェイの手によるもの。彼はこの襲撃を読んでいたのだ。トルウェイはイクタの言葉を思い出す。「将棋盤を逆にしろ」。もし自分が敵の指揮官なら、砦をどう攻めるのか…そうやって攻めてくる敵を、どう迎え撃つのか――。かくしてカラ・カルムの部隊は壊滅し、西の砦は陥落を免れた。だがそれも束の間、今度は爆音がイクタたちの耳を劈く。それは敵の新兵器によるもの。さらに不眠の輝将の策により、炎の壁をも突破され……。