「あらゆる英雄は過労で死ぬ」。そう嘯く青年、イクタ・ソローク。彼とその幼なじみのヤトリは、高等士官試験の二次会場に向かうため、乗船しようとしていた。旧軍閥の名家に生まれたヤトリは、自身の主席合格をより確実なものとするため、この英雄嫌いの青年に協力を要請したのだ。船上にて同室となったのは、ふたりと腐れ縁のマシュー、衛生兵志願のハロ、そしてヤトリと同じく「忠義の御三家」に生まれたトルウェイの三人だった。和やかな談笑や他愛のないゲームに興じる5人。だが、突然の強い振動が、その時間に水を差す。ほどなく彼らの耳に届いたのは、船が座礁したという凶報だった――。